頬骨の再建

こんにちは。
8月だというのに梅雨のようなお天気が続きますね。
このまま秋になってしまいそうな感じです・・・・・。

今回は頬骨の再建のお話です。
私たちアジア人の顔面骨格は頬骨が西洋人に比べて大きく、横に張り出しているのが特徴の一つですが、大きすぎたり、横に張り出しすぎていると人によってはコンプレックスの原因となる時があります。
そのような時は頬骨弓骨きり移動術(ZAO)を行うと頬骨前方の大きさを縮小すると同時に頬骨弓部の横への張り出しを少なくすることができます。

この手術は施設によっていくつかの方法が行われていますが、基本的には頬骨弓部の前方(頬骨体部)と後方の顎関節の手前を骨きりして内側に移動させプレートやワイヤーで固定するという方法です。(ホームページを参考にしてください)
いずれの方法で行うにしても前方の骨きり部の固定はマイクロプレートやワイヤーでなくミニプレートでしっかりと固定することが大切ですし、プレートの位置も力学的なことを考えて決めなくてはなりません。

頬骨には咬筋や大頬骨筋、小頬骨筋が付着しており、特に咬筋(下図左)は咀嚼筋ですので食事をする時や、スポーツなどで歯を食いしばると想像以上の力が加わります。その力は頬骨弓骨きり後だと頬骨を下方に引き下げる力となり、固定力が弱いとプレートが外れて頬骨が下方に移動して、多くの場合内側にも移動してしまいます。

Battment

Masseter-muscle

 

 

 

 

 

 

 

また物を噛んだり、噛み締めたときに上顎に加わる力を支える構造は上図右のように三つに分かれます。❷のように頬骨は噛む力を支える主要な構造となっていますので噛む力を支えるように骨切線やプレートの位置を設定しなくてはなりません。

下のCT( 上)は他院でZAOを行なった方のものです。術後に腫れが引いてみると頬の膨らみが全くなくなり、頬がたるんでしまったとのことでした。頬骨前方を固定していたプレートが外れて、頬骨前方が下方、内側に移動してしまっています。
骨切部は接合しておらず、不規則な骨吸収が見られます。
Ritz-F

人工骨(矢印)を移植して元の位置に戻す再建手術を行いましたが骨切部の骨吸収が著しく完全に元の位置に戻すのが困難な症例でした。骨の欠損部が少し残っていますが外見上は患者様に満足していただける結果を得られました。左側に2枚、右側に1枚のSynthes製ミニプレートを使用しています。

長くなってしまいましたので今日はこの辺で・・・・・。

次回は凹ましすぎた頬骨の再建法についてご報告しますね。

A bientôt!

 

頬骨の再建について続きはこちら その2 その3