どれくらいの時間呆然としていたか覚えていませんが、息子からの電話で我に帰り、時計を見ると夜の8時を回っていました。
その日は息子たちと食事に行く約束をしていたのですが、すっかり忘れて約束の時間をすぎていました。気をとりなおし出かける支度を整えましたが、出かける前にゴミを捨てていこうと思い、ゴミの詰まった袋を持って地下のゴミ置場に行きました。いくつか並んだ水色の大きなポリバケツのひとつにゴミ袋を放り込んでゴミ置場のドアを開けようとした瞬間でした。小さな小さなミャーと鳴く声がしたような気がしました。耳を澄ましてみましたが何も聞こえません。そして再びドアを開けようとした時です、再び、今度は少し大きな声でミャーと鳴く声が聞こえました。チー?と呼んでみました。ミャーと答えました。もう一度チーと呼ぶとさらにおおきな声で答えました。鳴き声のするポリバケツのフタを恐る恐る開けました。生ゴミに埋もれて血だらけの体で頭を少し上げて必死の形相で鳴くチーノがいました。最後の力を振り絞って鳴いていました。
身体中血だらけで、お尻のあたりになにやら内蔵のようなものも飛び出しているように見えました。多分、もうだめだろうと思いましたが、とにかくウチにつれて帰ろうと、どうにかして腕の中に抱き上げてウチにつれて帰りました。
リビングの床の上にチーノをそっと寝かせると、ムーちゃんがよってきて、そっと、そっとチーノの体を舐め始めました。その姿はお帰りと言っているようにも、さよならと言っているようにも見え、なんだかわからない涙が溢れてきて、ただただ見守ることしかできませんでした。
でもチーノはいまも元気に我が家で暮らしています。
話のつづきはまた次回のブログで。
A bientôt!