両顎手術で中顔面短縮したけれど

皆さん、こんにちは。

お盆が過ぎてなんとなく日差しが少し弱くなったような気がします。

まだ、まだ暑いですが。

今日は両顎手術のお話です。

両顎手術で中顔面短縮をしたのにあまり効果を感じていない人、あるいはガミースマイルは治ったけれど下顔面があまり短くなっていないと感じている人、いらっしゃいませんか?

実際に両顎手術をしたのに顔が長くなったとおっしゃられて修正を求めて訪ねて来られる方は少なくありません。

そのように感じている場合、予定通りに上顎が上に移動していないことがあります。

上顎の上への移動はルフォー1型骨切り術で行います。頭蓋から上顎を一旦切り離し、術前に決めた位置に上顎を上方移動します。その時に前歯部は直接見えているので、比較的簡単に上方移動できます。

問題は上顎骨の臼歯部です、特に大臼歯部なんです。上顎骨の後方には上顎骨を栄養している血管や感覚を司っている神経が通っています。上顎を上に移動する場合、その部位も削って調整が必要となるのですが、この部分がしっかりと削れていないと上顎の前歯部だけが予定通りに上に移動して上顎の後方はあまり移動しないこととなり、横顔で見た時に上顎骨は反時計方向への回転がかかります。

SSROやIVROで下顎を上顎に合わせて移動させると、下顎も横顔で見た時に切歯点付近を中心に反時計方向へ回転します。そうすると下顎の先端(アゴの先端)は前下方へと移動します。この下顎の回転に伴う前下方への移動によって下顔面は予定したよりも長くなります。下顎の回転角度が大きければ大きいほど下顔面は長くなります。上顎の挙上量が3〜4mmと少ない時は、前歯は上方に移動してガミーは治ったが下顔面は小さくならないと言う結果となります。

 

奥歯が上がっている場合と上がっていない場合の比較

術前顔面長120 mm

大臼歯部(奥歯)が上がっている場合

両顎手術後顔面長116 mm 短縮量 4 mm

大臼歯部(奥歯)が上がっていない場合

両顎手術後顔面長118 mm 短縮量 4 mm

上顎の後方(奥歯の部位)が上がっていない場合、上顎を4mm挙上したつもりでも実際には下顔面長は2mmしか短縮されていないことになります。

このように上顎の後方部の挙上は難しく神経や血管の周囲を削れる量には限界があります。特に上顎を後方にも下げる場合は尚更難しくなります。

マックスでは原則として上顎の挙上量が5mmを超える場合、後方への移動が3mmを超える場合はU-cut Le Fortを行います。移動量が少なくても上顎の後方部の骨削りが困難な場合もありますがU-cut Le Fortでこの問題は解決できるのです。