顔に傷跡を残さない頬骨弓骨切り

みなさん、こんにちは。

とても暑い日が続きますね。僕が少年だった昭和の時代にはなかった暑さです。

エアコンなしでは暮らせない時代ですが、エアコンの室外機って熱風を吐き出してますから、外気温はいっそう高くなるのではないかと……..悪循環ですね。

さて、今日はザオ、ZAO (Zygomatic Arch Osteotomy)、頬骨弓骨切り術のお話です。

頬骨弓の骨切り線は施設によって多少異なりますが、おおまかに言うと頬骨弓の前方と後方(耳の前)で骨切りを行います。通常、後方は耳前部の皮膚を切開して顎関節の前方を骨切りします(下図①② FN=顔面神経)。

この方法は骨切りする骨を直接見て骨を切れると言う利点がありますが、皮膚に傷跡が残りますし、頬骨弓の外側を走る顔面神経の側頭枝や頬骨枝などに影響を与え術後の顔面神経麻痺を引き起こす可能性があります。

そこで耳前切開を加えることなく頬骨弓の後方を骨切りする方法として経頬骨弓内側アプローチ(Internal Transzygomatic Approach:ITA)を編み出しました。側頭筋と頬骨弓の間に細長いドライバーが入る程度のスペースを作り、そのスペースにEZカンターという特殊な機械を入れて頬骨弓の後方を切ることができます。

ITAでは頬骨弓の後方をプレートで固定できませんが、頬骨弓前方の固定を強固に行うことで術後の頬骨弓の偏位を防ぐことができます。

この方法の利点は皮膚に傷跡が残らない点と顔面神経損傷の可能性が耳前切開法に比べてかなり低いことです。

そして頬骨弓後方部の骨がうまく接合して段差なく治ってしまうとプレートもなく皮膚に傷もないためまるで何もなかったかのように治ってしまいます(下CT参照)。そのため困ったことに術後のCTを見て頬骨弓の後ろが切られていないと勘違いする方もいるくらいなんです。